※この話はとあるチャットにて管理人が激萌えした
歌舞伎町ホストな銀さんと土方さんのストーリーになっています。
ギャグスペシャルの金魂ネタも絡んでいると思うのですが
現在管理人はそれを手に入れておらず
あくまでもチャット中のナガクラ様の設定
を勝手にお借りして作っています。


で、作中ちょっとアイヤーな表現ございますので
お食事中な方はご遠慮下さいね。
(土方さんリバースしてます)




















歌舞伎町ホスト物語






 ちょっと、と断って土方は席を立った。酒は強い方ではない。客と一緒に飲んでばかりでは直ぐに酔いつぶれてしまうから、こうして頃合いを見計らって抜かないといけない。
 薄暗い照明の店内を抜けレストルームへと向かう。目的の扉を開けた途端目に入った光景に、土方はその場から背を向けたくなった。だが中にいた人物が土方に気づいて、それもできなくなる。
「ん? ああ、誰かと思えば万年二位の多串君じゃないですか」
 紫煙をくゆらせながら片手を挙げる金髪の男は、この店のナンバー1ホスト、坂田金時だ。嫌な奴に会ったと、土方は表情を歪ませる。客の前では決してそんな顔はしないが。
「……便所で煙草吸うな、禁煙だろ」
 というか出て行け、と思いを込めて睨み付けてやれば。
「硬いこと言うなよ多串君。だからいつまでたっても二番なんだぜ」
 と言って、ふうっと煙を吹きかけられた。嫌味な野郎だ!
「多串じゃねえって言ってんだろ」
 そう反論すると、シニカルな笑み。煙草を洗面台に押しつけて火を消す。ニタニタ笑いを顔に張り付かせながら、カツカツと踵を慣らして近寄ってくる。
「何、ナンバー2のキミがナンバー1の俺に指図?」
 意地悪な光を湛えた瞳が三日月型に歪んだ。今は二人きりだ。誰も見てはいない。けれど、土方は唇を噛む。
「スンマセン」
 視線は床に落として謝罪の言葉を口にした。得意がってるだろう金時の顔など見たくもなかった。案の定、フッと人を小馬鹿にしたような軽い笑いが漏れ聞こえる。そして、
「ハーイよくできましたー」
 まるきり棒読みでからかわれた上、頭を撫でられた。最悪だこの野郎。用は済んだか。済んだなら早く出て行けよ、と思っているのに。
「……行かねーのかよ」
 もう用など無いはずの男がなかなか出ていこうとしない。他の従業員ならいざ知らず、こいつの居るところで個室に篭もり酒を抜くのは、土方にとって歓迎せざる行為だ。こいつにだけは弱みを見せたくない――そう思う気持ちがある。だが金時は。
「んんん? 多串君がおトイレ終わるまで待ってる」
 などと抜かす。冗談じゃない。
「客が待ってるぜ」
「ああ、多串君から俺に乗り換えた子ね。いいじゃん待たせとけば」
 乗り換えたんじゃなくてお前が獲ったんだろうが! しかしそれを口にするのは土方のプライドに傷がつく。結局腹立たしい気持ちを飲み込めば、胃の附が一層重くなった。気持ち悪い。だから、早く、出て行けというんだこの男は。
 金時はそんな土方の心情など汲んだりしない。きっと考えたことすらないだろう。憎々しい奴だから。
 けれど、幾分青ざめた顔で床のタイルに視線を落としている顔を、金時がほんのわずか目を眇め真剣な表情で窺っていたなど土方は知らない。



「というか、吐きに来たんだろ? ならさっさと吐けばあ? 待っててやるから」
「待つなよ!」
「ああ、一人じゃ出来ねえってか? しょうがねえな……」
 どれ、といって金時は漆黒のスーツの袖を捲り挙げた。ついでに派手な色をしたシャツも。
「ちょ、お前」
「来いよ」
 強引に腕を取られ、引きずられる。体格や力に差は無いはずなのに、こういう時に金時を振り払えた試しがなかった。ナンバー1とナンバー2だから? そんなもの実際の力には関係ないはずだ。
(クソッ)
「ホラホラ」
 連れ込まれた個室で背中を押さえ込まれ、冷たいタイルの上に跪く。洋式便器の蓋を開けた金時が、空いた方の手で土方の顎を掬った。
「口開けろ」
「――クソがっ!」
「ハーイいい子ですねー。噛んだら殺すぞ」
 情けない話だが、この男に凄まれると一瞬怯んでしまうのを止められない。その隙をついて、遠慮もせずに喉奥に指が突っ込まれた。反射的に胃がせり上がる。生理的な涙が浮かんで、瞼をきつく閉じたら零れて落ちた。
「ぐっ――ゴホッ……ッ!!」
 よりによって目の前で――。けれどこれが初めてではない。酒に呑まれかけた土方をこうして個室に連れ込んで吐き方を教えたのも元を正せば金時だった。
(チク、ショウ……ッ!)
 だからといって未だに世話を焼いてくるのは土方の気持ちを無視する行為ではないか。いや、世話を焼く以前にこれは絶対に嫌がらせだ。一人で出来ることだから、一人にしてほしいのに、この男がそれを尊重したことなど一度もない。くやしくて、余計に涙が滲んだ。



 だから――タイミングよく引き抜いた金時の指に、いつも填められている指輪が無いことや、痙攣する土方の背中に掌を寄せて擦ってやっていること。そしてその手が言葉や態度と比べて存外に優しいことにも、自分のことで精一杯な土方は気づきようもなかったのだ。




041114
銀土祭さま絵チャにて
絵チャのホスト銀さんがツボでツボで仕方なく
管理士ナガクラ様の設定を勝手にお借りして
チャ中にちびちび書きたいところだけ書いて
チャ終わってから仕上げた特急品。
ち、ちくらないで・・・!

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